夕方、スコールがあった。ドーンという大きな音がしたので、どこかで雷が落ちたのがわかった。家にいれば、スコールや雷は、子どものようにワクワクするものである。
ただ、前回、12歳のオスとメスの愛猫をマレーシアに連れてきたときは、少し違った。オスは、体重が5キロ弱の大猫だったが、なぜか雷の音を極端に恐れた。鳴ると、必ず、大きな体を揺らしながら、カーテンの裏にこそこそと隠れた。カーテンをめくると、物悲しそうに垂れた目がこちらを見つめる。愛猫たちと離れて暮らすことは絶対にできないと思い、マレーシアまで連れて来た。あのときのこの子の目は、忘れられない。
雷の音は嫌いではない。家の中で聞いていると、今でも少しワクワクする。でも、10数年たった今も、雷が鳴ると、カーテンの裏に隠れたあの子の姿が浮かんでくる。雷は、ワクワクするだけのものではなくなった。